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セオドライト(精密経緯儀)による有珠火山西麓の地殻変動観測結果
合同観測班地殻変動グループ(地質調査所,北海道大学理学部)
観測者:西村裕一(北海道大学),羽坂俊一,宝田晋治,高橋裕平,中川 充,渡辺和明(地質調査所)
合同観測班地殻変動グループでは,有珠火山西麓の噴火口周辺の山体変動解析を行う目的で,2000年4月13日より南西麓の虻田歴史公園(K1点)よりセオドライト(精密経緯儀)による観測を実施している.下図中の火口周辺の建物や高速道路などの目標物とK1点との間の鉛直方向および水平方向の変位を計測している.基準点は虻田発電所の貯水タンクの地点(K2地点)を採用した.現在全部で8つの目標物の計測を行っているが,ここでは変化傾向が見やすいように代表的な5つの目標物の変位を示している.地点1,2は地溝状の断層群の内部にある傾斜した建物であり,地点1は建物の基部,地点2は建物の屋根の部分を計測している.地点3と4は傾いた幼稚園の西側と東側である.地点5は高速道路の橋げたの西端の部分である.地点6,7は地点1,2の建物が使えなくなった場合の代替地点である.地点8は高速道路のICのループの内部にある建物である.
K1とK2地点からは自動連続光波測距(EDM)による距離の変動観測も行っている.
解析結果:
正断層の内部にある目標点1, 2, 6, 7は,4月中旬には1日50cm〜1mの隆起速度が観察できた.その後,徐々に隆起速度は減少し,6月中旬では1日約10cmとなり,7月下旬以降はほぼ隆起が停止したように見える.4月13日〜8月31日までの間に,目標点1,
2は約11.8m隆起した.一方,目標点1, 2はこの期間にK1から見て西方に約3.4m移動した.目標点3, 4のとうやこ幼稚園は4月13日〜8月31日の間に約3.8m隆起し,K1から見て西方に約3.4m移動した.目標点5の高速道路や目標点8の洞爺虻田ICではほとんど変動が観測されなかった.

